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IFRS第9号「金融商品」が金融資産に関する新しい規定を導入

2009年11月12日

何が問題となっているか?

IFRS第9号「金融商品」は、金融資産の分類および測定に対応しており、即時の早期適用が可能です。現行のIAS第39号に対する主要な変更点の概要は以下のとおりです。

  • IFRS第9号は、IAS第39号の多数の分類および測定のモデルを、償却原価と公正価値の2種類のみからなる分類カテゴリーで構成された、1つのモデルに置き換えています。IFRS第9号における分類は、金融資産を管理する企業のビジネス・モデルおよび金融資産の契約上の特徴に基づくもので、以下の2つの規準を満たす場合、金融資産は償却原価で測定されます。すなわち、a) ビジネス・モデルの目的が契約上のキャッシュ・フローの回収を目的とする金融資産の保有であること、および b) 金融商品の契約上のキャッシュ・フローが専ら元本および利息の返済であること。
  • 新しい基準は、金融資産の主契約から組込デリバティブを分離する規定を排除し、複合契約全体を償却原価または公正価値で分類するよう要求しています。ほぼすべての組込デリバティブはキャッシュ・フローに多様性をもたらすため、金融商品の契約上のキャッシュ・フローが専ら元本と利息の返済であるという概念に整合しません。したがって、金融資産の主契約であるほぼすべての複合金融商品の契約は、複合金融商品全体を公正価値で測定することになります。
  • IFRS第9号に基づくと、公正価値に基づくビジネス・モデルでは公正価値会計が要求され、また複合金融商品契約は当該複合金融商品全体として分類されることになるため、現行の公正価値の3つの選択肢のうち2つが廃止され、IAS第39号の残っている1つの公正価値のオプション規準が新しい基準に継承されます。つまり、会計上のミスマッチが顕著に低減できる場合には、経営者は引き続き、当初認識において金融資産損益を通じて公正価値で測定する区分に指定できます。損益を通じた公正価値測定に指定すると、継続的に取消し不可能となります。
  • IFRS第9号は、企業のビジネス・モデルが変更されたという稀な状況を除いて再分類を禁止しています。こうした稀な状況に該当する場合、企業は影響を受けた金融資産を将来に向かって再分類することが要求されます。
  • 証券化における投資トランシェでしばしば発生することがある、信用リスクの集中をもたらす契約上結びついている金融商品に関しては、特定のガイダンスがあります。IFRS第9号の分類水準に沿って金融商品自体を評価することに加え、経営者は金融商品の特徴を評価する上で、キャッシュ・フローを生成する金融商品の裏付け構成資産を網羅的に検討しなければなりません。償却原価(による評価)に適格であるためには、その投資の信用リスクが裏付け構成資産における加重平均した信用リスク以下であり、また当該金融商品が一定の水準を満たさなければなりません。網羅的な検証が実務的に不可能な場合には、該当するトランシェは損益を通じて公正価値で測定される区分に分類しなければなりません。
  • IFRS第9号の分類原則は、すべての持分出資は公正価値で測定しなければならないとしています。しかしながら、経営者は、売買目的保有ではない持分投資における公正価値の変動による未実現および実現した利得および損失をその他の包括利益に表示する選択肢を持っています。この指定は、当初認識時に1つの金融商品ごとに行うことが可能ですが、いったん指定した場合は取消し不可能となります。公正価値の変動による利得および損失をその後に損益に振り替ることはできません。ただし、かかる投資から得た配当金は引き続き損益に認識します。
  • IFRS第9号は、時価のない株式および当該株式のデリバティブの原価保有に関する例外規定を廃止する一方、原価が公正価値の適切な見積になり得る場合に関するガイダンスを提供しています。IFRS第9号は、IAS第39号を置き換えるIASBの計画の最初のマイルストーンを反映するものです。計画の次のステップには、金融負債の分類および測定に関する規定の再検討および公開草案の再公表、金融資産の減損アプローチ案に関する追加の調査およびフィールド・テスト、およびヘッジ会計に関するより詳しいガイダンスの策定が含まれます。IASBもまたFASBの金融商品に関する包括的な公開草案に対するコメントの募集を2010年第1四半期に実施する見込みです。また、IASBは2010年末までにIAS第39号を完全に置き換えることを目指しています。

対象となる企業

銀行と保険会社が新しい基準の影響を最も顕著に受けると考えられますが、金融資産を保有するすべての企業が影響を受けます。影響度合いは、企業が保有する金融資産の種類および規模ならびに金融資産を管理する企業のビジネス・モデルによって異なります。
分類および測定の新しいガイダンスは2013年1月1日に発効し、早期適用が認められます。IFRS第9号は遡及適用しなければなりません。ただし2012年1月1日以前に採択された場合、比較期間を修正再表示する必要はありません。さらに、2011年1月1日以前に適用する企業は、金融資産の分類を開始する日となる初度適用日が確定できることから、ガイダンスの適用日からIFRS第9号の公表日までの期間であれば任意の日を初度適用日に指定できます。

対応が要求される事項

経営者はIFRS第9号の詳しい規定を把握し、自社が保有する金融資産の分類および測定に対する新しい基準の影響を評価しなければなりません。また、比較情報の修正再表示の免除規定および早期適用企業に認められる初度適用日の任意の決定に関する緩和規定の観点から、新しいガイダンスの早期適用による潜在的な便益を検討しなければなりません。
しかしながら、経営者は金融商品に関するプロジェクトは絶えず変化することを忘れてはなりません。IASBは、IFRS第9号の発効日が基準の強制適用日とIAS第39号を置き換える計画の第2段階(「償却原価および減損」と「保険」プロジェクト)の発効日と整合させるために先送りされる可能性があると示唆しています。さらに、投資企業がIASBモデルとFASBモデルを一層簡便に調整できるように、財務諸表上の金融資産の表示が変更される可能性があります。
経営者およびその他の関係者は、IAS第39号を置き換えるプロジェクトの動向を継続的に監視し、IFRS第9号ですでに定められている規定に関連する今後の決定による影響を検討しなければなりません。

新しい規定の適用に関する質問や追加情報のご依頼は、PwCの担当者までお問い合わせください。

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