2009年11月05日
IASBは現在、償却原価で会計処理されている金融資産に関する減損のガイダンスを抜本的に変更すること提案しています。これは、IAS第39号を置き換えるプロジェクトの第2段階であり、当該公開草案では償却原価による測定に対して「実効リターン(effective return)」によるアプローチを提案しており、これは、金融資産に対して「期待キャッシュ・フロー(expected cash flow ;ECF)」による減損モデルを適用することを示しています。
今回提案されたアプローチでは、金融商品に課される利息が期待損失に対するプレミアムを含んでいるが、利息収益/利息収入の一部に含めるべきではないため、期待信用損失の当初見込額を当該金融資産の満期までの期間にわたり配分する結果となるようにすることが前提となっています。資金の貸手は、商品の取組時に期待損失を補填する「実効金利(effective interest rate ;EIR)」部分を識別する必要があります。利息収入は、取組時に認識された期待損失部分を控除したうえで、当該商品の満期日までの期間にわたり実効金利で認識されます。期待損失に関連するプレミアムは、(事実上、貸倒引当金として)債権の基礎的な部分の減額として各期に反映されます。
現行のIAS第39号で求められている発生損失モデルとは異なり、期待キャッシュ・フロー・アプローチでは、減損発生の客観的証拠がなくても、当該金融商品の満期までの期間にわたり、期待キャッシュ・フローを継続して評価することが求められています。当初の期待損失額が正確な場合には、減損損失は認識しないことになります。期待損失の当初の見積りに関連するプレミアムにより、債権残高は回収見込額まで既に減額されていることになります。
ただし、当初見込まれた金額よりも更に多くの損失が見込まれる場合には、期待キャッシュ・フローの減少に対して、減損費用が認識されます。また、損失期待に関して有利な変化があった場合には、期待キャッシュ・フローの増加として収益が認識されます。当該アプローチでは、信用損失に対して引当金勘定を使用することが求められおり、直接償却は認められません。
当該草案では、財務諸表の利用者が、利息収益および利息費用の財務的効果や、企業が保有する金融資産の信用特性を確実に評価できるようにするための、厳格な表示および開示の要件を提示しており、特に、以下を求めています。
償却原価で計上されている金融資産を保有する全ての企業が影響を受けます。当該提案は、貸付金および債権に多くの投資を行っている銀行および他の金融機関に最も大きな影響があります。当該提案モデルは、金融機関でない企業が通常保有している売上債権にも同等に適用されるため、一般企業も当該提案による影響を評価する必要があります。
提案されている適用日以前にIFRSに移行する予定の企業は、当該提案が移行計画に与える影響について検討する必要があります。また、初度適用企業は、今回提案された期待損失モデルが今後更なるシステム変更を要することを考慮し、現行のIAS第39号における発生損失モデルに準拠するシステムを導入する必要があるかを検討する必要があります。
IASBは、2010年6月30日まで当該草案へのコメントを求めています。我々は、経営者の方々には、特に期待キャッシュ・フロー・アプローチの運用面、および当該モデルの「フィールドテスト」について検討され、コメントされることを推奨します。また、専門家諮問委員会における議論が最終基準における詳細な運用上のガイダンスの基礎となるため、そこでの議論をフォローされることを奨励します。
当該提案に関する質問や、更なる情報が必要な場合は、PwCのGlobal ACS貴社担当者までご相談ください。
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