IAS 第24号改訂による、国営企業間の取引に関する開示要件の緩和、および関連当事者の定義の明確化
2009年11月04日
何が問題となっているか?
改訂の要点:
- 国営企業に対して求められる、国および他の国営企業との全ての取引に関する詳細の開示要件を取り除く。
- 関連当事者の定義を明確にし、簡素化する。
(1) 国営企業
国営企業とは、国によって支配、共同支配されている、または、重要な影響を受けている企業であると現在定義されています。
以前のIAS第24号には、国営企業に関する特定のガイダンスはなく、企業は、国および他の国営企業との取引を開示することが求められていました。当該要件は、国による支配が浸透した管轄区域において不利な要件となっており、企業は、関連当事者との取引の識別や開示のための情報収集に大きな負担を強いられていました。例えば、国営の鉄道会社は理論上、郵便局との取引の詳細についての開示が求められていました。ただ、当該情報は財務諸表の利用者には必ずしも有用でなく、収集にコストや時間を有します。
今回の経済危機により、関連当事者の開示要件の対象となる企業の幅が広がっています。多くの国では、金融機関が国による財政支援を受けていますが、このことは当該一部の企業に対して国が支配または重要な影響を与えているという意味になります。これにより、国により支配されている銀行は、例えば、他の全ての国により支配されている銀行および中央銀行との預金取引や融資の詳細についての開示が求められるということになりえます。
当該改訂によりIAS第24号における国営企業、国、およびその他全ての国営企業との取引に関する開示要件が免除されることになりましたが、これらの開示要件に代わって、今後は以下の開示が求められるようになりました。
- (a)国名、国との関係の性質
- (b)
- (i)個別に重要な取引の性質およびその金額
- (ii)質的または量的に、全体として重要な取引の範囲
今回の改訂は、開示要件の大幅な緩和となり、国営企業に対しては大きな便益となります。財務諸表の開示に関する複雑性やボリューム、および、帳簿管理のコストが削減されることになり、当該新規開示規定によって、企業の国との関係や重要な取引の性質について、より意味のある情報が提供されるようになります。
(2) 関連当事者の定義
関連当事者に関する以前の定義は複雑で、多くの不整合がありました。これらの不整合の例として、ある取引における一当事者のみに関連当事者の開示が求められるといったものがありました。当該定義の改訂により、これらの不整合が取り除かれ、適用がより単純で簡単となりました。
当該定義の改訂により、一部の企業については追加の開示が求められるようになります。例えば、子会社は親会社の関連企業との取引の開示が求められるようになります。また、別の企業の主要な経営者である個人に支配される企業は、当該別の企業との取引に関する開示が求められます。
当該改訂により、関連当事者の定義の適用がより簡単になりましたが、一部の企業については、追加の開示が求められるようになります。
どのような影響があるか?
当該改訂は、全ての国営企業の財務諸表における開示要件に影響を与えます。開示の負担は大幅に減少し、より有用な要約情報や重要な取引に関する詳細に置き換えられます。
関連当事者の定義が改訂されたことによって、一部の企業では、より多くの関連企業を有することとなり、追加の開示が求められる可能性があります。最も影響を受ける可能性のある企業は、子会社および関連企業を含むグループ会社の一部や、他企業と関連のある株主を有する企業です。
何をすべきか?
改訂基準は、2011年1月1日以降に開始する年次会計期間より適用となり、基準全体または国営企業に関する免除規定の早期適用が可能となります。
国営企業の経営者は、2009年中に当該改訂を適用するかどうか即時に検討する必要があります。多くの企業にとって、早期適用は魅力的に見えますが、早期適用を検討している経営者は、改訂された開示規定を検討し、必要情報の収集のための手続きの準備を行う必要があります。
その他の企業の経営者も改訂された定義を検討し、追加での開示が必要になるかを判断し、情報収集のための手続きを準備する必要があります。
国営企業に関する改訂および改訂された定義による影響があるかどうかの確認については、PwCの貴社担当者までご相談ください。
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